登山はじめの一歩に「三種の神器」は要らない?
登山の三種の神器とは下記の3つのアイテムを指します。
①トレッキングシューズ(登山靴)
②レインウェア(雨具)
③ザック(バックパック)
私は登山をこれから始めてみようと思われる方の相談にのることがありますが、初めのうちなら三種の神器は要らないと言っています。
但しこれには条件があります。
以降、それらの条件と代替品の考え方について考察して参ります。
登山の3種の神器とは山行における様々なリスクに対して防御線を張るための道具です。従って、考えられるリスクを回避するプランを考慮することで三種の神器のレベルまで不要と考えることができます。
もちろん「そんな装備で山に入るなど舐めるのもいい加減にしろ!」とおっしゃる方もいるでしょう。
ただ、これからトレッキングを始めてみたいとは思うものの、ほんとうに続けられるか不安であったり、実際登ってみたがそれほどはまりそうに無いなど・・・続けられるかどうかもわからない事に対して初期投資数万円を強要できません。
3種の神器はもちろん持っていたほうが良いので予算に余裕がある方なら迷わず買ってしまってよいでしょう。
しかし、とりあえず登ってみて楽しめそうなら徐々にアイテムを付け足してゆくといったスモールスタートでも良いと考えるのが私からのアドバイスです。
「今後登山にハマるかどうかはわからないが、とりあず富士登山!」という方はスモールスタートは危険です。買わなくても良いですが登山用具のレンタルをしているサービスもありますので装備を揃えてチャレンジしてください。
三種の神器を型破りするための7つの条件
1 晴れ前提でのプランで雨天中止
2 歩行時間が往復数時間程度の日帰りプラン
3 低山に登る
4 積雪の恐れがあり陽の短い冬季は避ける
5 それほど運動音痴なわけではない
6 単独行ではなく慣れた人達と一緒に行く
7 トラブル発生したら躊躇なく引き返す
①トレッキングシューズ(登山靴)の型破り
登山靴は、不安定な登山道の中を長時間歩行するための足の保護具です。防水性能(ゴアテックスなど)を有しているものが主流です。
三種の神器の中で最も重要な装備と言えますのでこれだけはなんとか確保することを推奨します。
登山に限らずキャンプなどでも使えますし、雨や雪の天候での通勤・通学に使用している方もいらっしゃいます。他の用途にこじつけて購入するのも良いでしょう。
しかし上記条件をふまえると、最悪はクッション性が高く靴底が滑りにくいランニングシューズやスニーカーでも可能と考えます。但し厚手の靴下は必ず用意しましょう。
じゃあランニングシューズ買います!というのはおやめ下さい・・。どちらにしても買う必要があるのなら初めからトレッキングシューズを買いましょう。
ではどういうものがNGか・・サンダルやビジネスシューズ的なものは勿論もってのほかではありますが、ソールがフラットで滑りやすいもの、靴底が薄くクッション性のないものが適さないと言えます。
ソールがほぼフラットタイプの場合、ソールの溝に土や泥が目詰まりし、結果的にかなり滑りやすくなってしまいます。
また、靴底が薄くクッション性が無ものの場合、長時間の歩行に耐えにくく非常に疲れやすくなります。
②レインウェア(雨具)の型破り
山の天気は変わりやすいと言われます。また、標高が高くなると寒くなります。晴れの日であっても保険として持っているべきなものが防水防風の機能を持つレインウェアとなります。
登山以外での用途もこじつけてレインウェアを買ってしまうという選択を推奨します。例えば雨の日や寒い日の外での作業(ランニング・釣り・庭作業など)で一枚羽織るだけで防雨・防風が可能です。
では上記条件をふまえた場合の許容範囲内の装備についてです。ポイントは上下セパレートタイプであること。上半身の前面はボタン止めタイプではなくファスナータイプであることです。
防水性能を有すウインコブレーカーや作業用レインウェア(例えば交通整理員の方が使用しているようなもの)があればまあまあ安心です。
全く持って行かないと言うのは心もとないのでせめて・・コンビニで売っているビニルレインコートを。但し前面ボタン止めタイプが多く、歩いているうちに浸水してくるでしょう。無いよりましという程度です。
③ザック(バックパック)の型破り
荷物を背負っての長時間歩行に対して、いかに疲れにくくするか設計されたものが登山用ザックとなります。
これもレインウェアに同様、他の用途にこじつけることが可能です。旅行やレジャーに使用することができます。デザインの選択によっては通勤・通学に使用している人もよく見かけます。
では上記条件をふまえた場合の許容装備についてです。ポイントは両肩または腰で加重を負担できることと、両手をフリーにできることです。
タウンユースのデイパック程度であれば許容範囲内と思われます。雨天時のカバー用に大型容量のごみ袋とビニルテープを持つと尚良いでしょう。荷物の量にもよりますが大型のウエストバッグも許容範囲に入ると言えます。
ではどういうものがNGか。たすき掛けのメッセンジャーバッグのようなもの、片方の肩掛けのショルダーバックのタイプは基本NGです。荷重の体にかかるバランスが悪くなるため肩、背中、腰などに負担がかかり痛みが生じる可能性があります。ハンドバックのタイプはもってのほかです。手が塞がっているといざというときの危険回避に支障となります。