登山のリスクを未来の「タラレバ」で考える
今週のお題「私のタラレバ」
事実とは異なることを仮定し後悔してもしかたないという意味で使われる「タラレバ」。
私の使うタラレバは、未来の結果を予測する手段としての「タラレバ」です。
こんなキツい発言をし「たら」相手はどう思うだろうか?
どんなサプライズをす「れば」あの人は喜んでくれるだろうか?
ポジティブで良いと思いませんか?(笑)
トレッキングを趣味とする私としてみては・・
〇〇を知ってい「たら」、遭難しても何とかなるだろう
〇〇を持ってい「れば」、山頂でもっと楽しめるだろう
趣味の世界で未来の「タラレバ」を考えることは楽しいことですね。
トレッキングにはリスクが付きものです。怪我、病気、遭難、雷、野生動物との遭遇など・・様々なリスクがあります。
リスクをあらかじめ予測し、万一の事態に陥らないためにはどういった準備をしておくべきかまたは知っておくべきか、陥ってしまった時にどういった対応ができるか、リスクを「ある程度想定内」にしておくことでより安全なトレッキングを可能とします。
そのため未来の「タラレバ」を考える癖を持っておくことが重要になります。
例えば「熊は逃げるものを追う習性があるので熊から走って逃げてはいけない」という知識があるのとないのとでは、実際出会ってしまった際の行動で生死を分けるでしょう。
走って逃げなけ「れば」襲われずに済んだのに・・
熊鈴を持ってい「たら」出会わなかったかもしれないのに・・
これらはいわゆる通常の「タラレバ」なので後のまつりです。
「熊に出会うかもしれないリスク」に対して建設的に未来の「タラレバ」を考えてみましょう。
どのような準備をし「たら」熊に遭遇する確率を下げられるか、万一熊と遭遇してしまったら、どうす「れば」その場を切り抜けられるか・・。
リスクに対する対策として、大きく3種類の方法があります。
①リスクの排除(リスク自体を根本的に排除することは可能か)
②リスクの低減(リスクに陥る可能性を低減するために何ができるか)
③リスクの対処(リスクに陥ってしまった場合にどうするか)
それぞれの観点で考えておくと良いでしょう。
熊と遭遇するかもしれないリスクへの対策
①リスクの排除
・山に登らない(これは究極すぎますが・・山にはリスクが伴うということはそういうことです。山に登る以上、熊と出会わないというリスクは排除しきれません)
②リスクの低減
・クマ出没の口コミがあったので登る山を変更する
・複数人で登山すれば人の気配が多くなるので熊は近づかない
・熊鈴を携帯する
③リスクの対処
・遭遇したら走って逃げない
・遭遇したら声を出したり、手を振って大きく見せたりしながらゆっくり後ずさり
・襲われそうになったらザックを置いて熊の興味をそらす
・襲われることを想定し、熊撃退スプレーや剣鉈を保険として携帯する
上記は「熊との遭遇」というリスクについてでしたが、あらゆるリスクに対して応用できます。特に一般的なリスクではなく個人的な事情によるリスクは、事前に誰かが一生懸命考えてくれるものではありませんので自分で考えておくしかありません。
例えば私は単独行をよくしますが「腸が弱く、登山途中でお腹が痛くなると最悪」です。
①リスクの排除
→明らかにお腹の調子が悪そうな場合は登山中止
②リスクの低減(どのような準備をし「たら」お腹が痛くならないだろうか)
→朝食に牛乳や生卵などの生ものは避け、熱を通したものにする。
→登山開始直前、山小屋では必ずトイレに行っておく
→整腸剤を飲んでおく(または先に正露丸を飲んでしまっておく)
→お腹を冷やさないよう服装に配慮
③リスクの対処(お腹が痛くなった場合、何を持ってい「れば」なんとかなるか)
→正露丸を持っておく
→携帯トイレ・ティッシュペーパーを持ってゆおく
幸い「②リスクの低減」の施策を行うことで最悪な自体を避けられています。では、「③リスクの対処」の準備はしなくて良いか?これは個人の判断力によるでしょう。
与条件によっても変わります。
例えば山頂に山小屋が無く登り始めたら降りるまでトイレが無い場合は必要という判断にもなるでしょう。
一方、「③リスクの対処」に必要な正露丸・携帯トイレ・ティッシュぺーパーの重量は?容積は?たいしたことありません。したがって総合的に考え基本常備品として私は考えています。
このようにリスクにはいくつもの対応策があり、すべてのリスクに対してすべての対策を講じることは非現実的です。リスクを想定した上でどこで線引きし対策を考えておくか、手段を持っておくか・・。これは個人の判断力によるもので自己責任なのです。
初心者だけでの登山はそれらのリスクを想定せずに登ってしまっていることが多いのでリスキーなのだと思います。なので初心者のうちは慣れた方と一緒に行くことを推奨しています。そしてずっと人任せで付いて行くだけでなく、徐々にリスクに対しての認識、対処スキル、判断力を養って行くことが必要です。